3~4歳は、ますます自立が進む時期です。
生活面では、自分でパンツやズボンをおろしてトイレに行ったり、自分で服の脱ぎ着ができるようになったりします。
また、運動能力が一段と向上することはもちろん、先生だけでなくお友だちとの関わりも意識できるようになってくるのが特徴です。
3~4歳のこどもが保育園で過ごすとき、どのような服装が適しているのでしょうか。
経験豊富な2名の保育士の先生に、保育園で活動しやすい服装についてプロ目線で教えていただきました。
この記事のPOINT ・3~4歳児が保育園で活動しやすい服装選びのポイントは「通気性」と「安全性」 ・フード付きは絶対NG!フード部分だけでなく、フードから垂れている紐も危ない! ・安全性はもちろん、芽生えはじめる美的センスや好みにも配慮して選んであげよう |
保育園という集団生活の場において、3~4歳児に適した服装について詳しく教えていただきました。
◎Q:3~4歳児が保育園で活動しやすい服装は?
●A:重視すべきは「通気性」
こどもの活動しやすさを考えると、もっとも重視したいのは「通気性」。
これは、3~4歳に限らず、どの年齢のこどもにも共通することです。
こどもは大人に比べて発汗量が多いため、通気性がよいものを選んであげましょう。
また、「ヒートテック」などの吸湿発熱繊維で作られた下着は、薄手なのに大変温かく、冬場には重宝しますよね。
しかし、3~4歳のこどもの運動量はすさまじいんです。
真冬でも、吸湿発熱ウエアを着ているこどもは、30分も遊ぶと汗をびっしょりかいてしまいます。
その汗で身体が冷えて、風邪をひいてしまうことも……。
寒い時期の朝7時くらいに登園するこどもなら、吸湿発熱ウエアを着せてもよいですが、登園したら保護者の手で着替えさせてあげてほしいと思います。
下着はとくに通気性・吸湿性に優れたものを選びたいので、綿100%のものがいいのではないでしょうか。
◎Q:下着は、「半そで・ランニング・長そで」のどのタイプがよいでしょうか?
●A:薄着が基本!下着は1年中、半そでOK
夏の下着で、ランニングタイプを選ぶ保護者の方もいるでしょう。
しかし、こどもは新陳代謝が活発で汗をたくさんかくため、ワキ汗をしっかり吸収してくれる半そでタイプがおすすめです。
こどもは割と寒さに強く、大人が朝起きて「寒い!」と思うくらいでは、こどもはそうでもありません。
そのため、通気性も考慮すると、冬場の下着も半そででOKです!
つまり、3~4歳のこどもが保育園で使う下着は、1年中半そでを推奨しています。
この年齢のこどもの服装は、「通気性」と「薄着」が大切です。
また、冬場に保護者から「下着は着せるべきですか?」と質問を受けることがあります。
季節に関係なく、こどもはたくさん遊び、たくさん汗をかくので、肌着は必ず着せてあげましょう。
◆3~4歳児のトップスを選ぶときのポイント
次に、3~4歳児のトップス選びのポイントを教えていただきました。
フード付きのトップスがNGの理由についても触れられています。
◎Q:保育園に通う3~4歳児のトップス選びのポイントは?
●A:フード付きのトップスは絶対にNG
こどもを保育園に通わせている保護者にとっては周知のことと思いますが、フード付きのトップスは絶対にダメ。
日本全国どこを見ても、フードOKとしている園はないはずです。
その理由は、主に2つあります。
1つは、遊具などにフードが引っかかってしまったり、お友だちに引っ張られたりする可能性があり危険だから。
2つ目は、フードから垂れ下がっている紐が引っかかって、吊られてしまうなどの事故が起こり得るから。
フードそのものが危ないことはご想像のとおりですが、意外と見落としがちなのが紐の危険性です。
幼児は冬でも園庭や公園など屋外で遊ぶことが多いので、アウターも必ずフードが付いていないものを選んでください。
◎Q:フード以外で、考慮すべきトップス選びのポイントは?
●A:基本は「薄着」!セーターや重ね着は不要
前述のとおり、こどもは比較的寒さに強く、冬場でも遊ぶとすぐに汗をかきます。
そのため、保育園で過ごす服装として、セーターなどの防寒性の高いものは必要ありません。
冬でも、下着の上に薄手のフリースやトレーナーなどのトップスが1枚あれば十分。
外へ遊びに行くときに、アウターを着ればOKです。
こどもに過度な重ね着は不要です。
裏起毛の服も必要ありません。
とくに注意したいのが、夏から秋への移り変わるころの服装。
園によって違いはありますが、この時期に運動会を開催する園も多いですよね。
朝方ヒンヤリするからか長そでで登園し、園にも半そでのストックがない場合があります。
秋口の日中は、長そででは暑すぎて、こどもはたくさんの汗をかいてしまいます。
そして、夕方ごろには汗で身体が冷えて、風邪の原因になることも……。
こどものトップスは「通気性」と「薄着」が基本と覚えておきましょう。
◎Q:デザイン面で気をつけたいことはありますか?
●A:こども自身の好みやおしゃれの感覚も尊重してあげる
3~4歳は、自分の好みが出てくるころで、おしゃれに敏感なこどももいます。
そのため洋服選びの際には、こどもの好みや美的センスなども大事にするべきだと考えます。
安全性・通気性が十分で、自分でトイレに行ったり、着替えができたりする洋服であれば、こどもの好みを尊重してあげてください。
とはいえ、この年代のこどもはとってもダイナミックに遊びます。
そのため汚れたり、飾りが取れたりするのがイヤな服は保育園には着て行かないことが基本です。
◆3~4歳児のボトムスを選ぶときのポイント
次に、保育園で使うボトムス選びについてお聞きしました。
ボトムスを選ぶ際、買って早々のサイズアップすることを防ぐため、「少し大きめのサイズを選びたい」と考えるのが保護者の常。
保育園で大きめサイズのボトムスを履かせたい場合のアドバイスなども紹介しています。
◎Q:3~4歳児が活動しやすいボトムスとはどのようなもの?
●A:「通気性」「伸縮性」があり、汚れてもよいもの
「自分で脱ぎ履きできる/しやすいこと」が基本。
生地が硬いジーンズは避けましょう。
また園によっては、パジャマではなく普段着のままお昼寝をするところもあります。
デニムでお昼寝なんて、寝心地が悪いですよね。
ボトムスもトップス同様、通気性と伸縮性のあるものを選んであげましょう。
同じく、こどもの好みへの配慮も大切です。
たとえば、スカートも絶対ダメというわけではありません。
ただ、スカートだけでは外遊びの際、転んだときなどにケガにつながるため、その観点からもズボンが好ましいですが、どうしても「スカートが履きたい!」という強い思いがあるのであれば、スカートの下にアンダーウエアを重ねるなどして、気持ちを尊重してあげてもよいのではないでしょうか。
◎Q:すぐにサイズアップすることを防ぐため、少し大きめのボトムスを購入したい。保育園で大きめサイズを着せてもよい?
●A:すそを折るなど安全が保たれているなら少し大きめでもOK
服などはとくに、ちょっと大きめを買って長く使用させたいというのは親の本音ですよね。
あまりに大きくて「すそを踏んでしまう」「ウエストがずり落ちてしまう」といった場合は、転倒の危険性があるためNG。
しかし、丈が長いようであっても、家ですそを折るクセをつけておき、すそが乱れてしまったときに「先生、すそ折って!」と言えるのであれば、少し大きめを履かせても問題ないかなと思います。
逆に、あまりにジャストサイズでは脱ぎ履きしづらいことも。
そのため、ワンサイズ上のゆったりとしたサイズ感のほうが保育園用には向いています。
服選びの際には、今年の夏に着ていたものが、秋口や次の春あたりまで着られるくらいのサイズ感を目安に選んでみてください。
◆「安全性」と「通気性」を意識しながら、こどもが好きなものも取り入れてあげましょう
保育園に着せて行く服は、「汚してもいい」「破れたら捨ててもいい」と思えるくらいのものが適しています。
ボトムスの膝に穴があいたり、首まわりが伸び伸びになったりすることは日常茶飯事。
そのため洋服が短いスパンで循環することも意識して、価格帯なども考慮するとよいでしょう。
「安全性」「通気性」があるのであれば、少し大きめサイズやおさがりでもらった洋服なども上手に活用するのがおすすめです。
【記事の監修】
株式会社日本保育サービス 取締役 保育統括部 部長 株式会社アメニティライフ 代表取締役社長 髙久 仁(たかく ひとし)さん 保育士を志したのは年長児のとき。当時の気持ちを忘れず「こどもにとってあこがれの存在になる」べく、保育士の地位向上を目標に掲げている。複数の園で通算10年間園長も歴任。現在は本部での管理職だか、自身が保育士であると心にとめている。 |
【記事の監修】
株式会社日本保育サービス 西日本ブロック ブロック長 柳 美沙(やなぎ みさ)さん 小学5年のときに保育士になると決めてから、実際に夢を実現し30年あまり。「一人の人間として尊重する」「心を折らない」をモットーに保育現場で務める。複数の園で園長も歴任。現場を熟知する視点から、現在は管理職として後進の指導にあたっている。 |