小学校になると1日の過ごし方はどう変わる?宿題や習い事、親の心構えについても解説

 

 

小学生になると、1日の過ごし方が保育園や幼稚園と大きく変わります。こどものタイムスケジュールが変わると、当然親もそれに合わせた行動が必要になるでしょう。

どんなところが変わるのか、また親としてどんなことに気をつけるべきなのか、事前に把握しておきたいところ。

そこで今回は、保育士資格を保有し学童支援員や学童施設長などの役職でこれまで多くのこどもに携わってきた経験をもつ小原夕子さんに、小学生の1日の過ごし方について教えてもらいました。

 

この記事のPOINT

・保育園から小学校に入学することで大きく変わる点を理解できる

・小学校でこどもがどう過ごすか、また親としての心構えも把握できる

・家に帰ってからのこどもの過ごし方をシミュレーションできる

 

 

◆小学校入学で大きく変わるのはどんなこと?

小学校に入学すると、保育園生活から様々なことが変わります。

保育園と小学校を比較して、具体的にどんな点が変わるのでしょうか。

 

◎Q:保育園と小学校の過ごし方の違いは?

●A:勉強と遊びの時間がはっきりと区別される

 

保育園での生活では、遊びのなかに学びがあり、カリキュラムもありますが比較的自由に過ごします。

それに対して、小学校は勉強と遊びの時間がはっきりと分けられているのが特徴です。

また、保育園ではお昼寝の時間があったかもしれませんが、小学校ではなくなり、給食や休憩をはさんで午後にも授業があります。

保育園では常に保育士が近くにいますが、小学校の休憩時間はこどもだけで過ごすようになるのも、大きな違いです。

登下校もこどもだけというケースが多く、大人がおらずこどもだけで過ごす時間が次第に増えていきます。

大人の目が届く範囲は減り、大人もこどもも不安になる場面もあるかもしれません。

 

◎Q:放課後の過ごし方はどうなるの?

●A:家庭によってそれぞれ異なる

 

学校が終わり放課後になると、親が家にいるこどもはそのまま帰宅する、親が働いていて家に誰もいないこどもは学童や放課後クラブを利用する、自宅ではなく祖父母宅に帰宅するなど、家庭の事情や方針によってそれぞれ異なります。

帰宅して公園や児童館に遊びに行ったり、習い事に行ったりすることもあるでしょう。

あらかじめ、放課後の基本的な過ごし方を決めておく必要があります。

 

 

◆小学校での過ごし方はどうなるの?

小学校に入学すると、こどもは学校でどんな過ごし方をするのかも気になるところです。

小学校での過ごし方について見ていきましょう。

 

◎Q:小学校での過ごし方は?

●A:勉強を中心とした規則正しいスケジュールになる

 

もちろん学校によっても異なりますが、基本的には「朝の会→午前中の授業→給食→清掃→午後の授業→帰りの会」というタイムスケジュールになっており、曜日ごとに定められた時間割通りに進みます。

1年生の間は小学校に慣れることが優先になるため、終わる時間は早いでしょう。

また、1年生の間は先生が細やかに給食、教室移動、掃除など生活指導をしてくれますが、学年が上がると徐々になくなり、自分の判断が必要な場面も増えます。

 

◎Q:親としてどんな心構えが必要?

●A:こどもだけの時間が増える=トラブルも増える

 

先ほども言ったように、休憩時間や登下校など大人の目が届かない場面も多く、小学校での出来事を親がすべて把握することはできません。

必然的にトラブルも増えてくるため、こどもが自主的に対応する力が必要になります。

困っていることを伝えられないこどもも多いので、なにか起こったときには先生や親に「困った!」と発信するようこどもに教えておき、学校であったことも普段から聞いておきましょう。

また、1年生はまだ身体が小学生になりきれておらず、視野も狭いため、交通事故に遭う率が高い傾向にあります。外を歩くときのルールをしっかり教えておきましょう。

 

 

◆家に帰ってからの過ごし方をシミュレーションしておこう

小学校になって大きく違うのは、宿題があり家でも勉強しなければならないことが挙げられます。

家に帰ってどんなタイムスケジュールで過ごせばいいのか、確認しておきましょう。

 

◎Q:宿題との向き合い方はどうするべき?

●A:宿題はできるだけ早めに!

 

宿題は帰宅したあと、できるだけ先にやらせるようにしましょう。

集中力がまだそうもたないので、長く勉強させるのではなく、ひとつの宿題をしっかりやるのがおすすめです。

音読の宿題は、日々一緒にやって褒めてあげるようにしましょう。

持ち帰ったプリントなどを一緒に見たり、学校がどうだったか話を聞いたりする時間を持つことも大切です。

また、最近は筆圧の弱いこどもも増えています。

宿題を見てあげる際は、適度な筆圧で書けているかも、チェックしてあげたいポイントです。

 

◎Q:習い事との向き合い方はどうするべき?

●A:入学のタイミングで新しい習い事をスタートするのはやめておこう

 

小学校に入学するタイミングで習い事を検討することもあるかもしれませんが、あまりおすすめしません。

習い事が増えると、関わる人やものも増えます。

小学校という新しい環境に、さらに習い事の新しい環境が重なると、こどもは大人の想像以上に疲れてしまいます。

こどものストレスになることもあるため、せめて1学期の間は、学校生活に集中させてあげるのがいいでしょう。

 

◎Q:明日の準備や寝る時間など、小学生で身につけたい生活習慣はある?

●A:こどもの無理のない範囲を心がけよう

 

もちろん、明日の準備をして、夜は9時までに寝るのが理想的です。

忘れ物をしたまま学校に行くと、意欲の低下につながるため、明日の準備は時間割を見ながら一緒に進めるのがいいでしょう。

ただし、小学校に入学したばかりの頃は、親が考えている以上にこどもの心理的負担が大きいもの。

頭ではやるべきことがわかっていても、疲れて寝てしまったり、わがままになってしまったりすることもあります。

やるべきことを伝えるための声がけは必要ですが、「強制はせず穏やかに」を心がけましょう。

2年生、3年生と進むにつれて徐々に身の回りのことや時間の管理ができるようになるため、「小学生になったのにできない!」なんて焦らず、長い目で見てあげることが大切です。

 

◎Q:家事時短のための「ながら」対応はよくない?

●A:平日と休日でメリハリをつけて割り切ろう

 

家庭とお子さんの状況にもよりますが、「ながら対応がダメ」としてしまうと、夕食が遅くなり、寝かしつけも遅くなり、朝が起きられなくなって……という悪循環に陥ってしまいますよね。

働いて子育てをしている親は、「平日は家事をしながら、も仕方ない」と割り切ることも必要です。

その分、週末のお休みのときはゆっくりと向き合うように、バランスをとってはいかがでしょうか。

 

◎Q:ごはんやお風呂、歯磨きタイムへの上手な誘導方法は?

●A:遊びから次のことへ気持ちが動くよう声をかけたり、タイマーをセットしたりしよう

 

「今日のメニューは〇〇だよ」「夕食後はお風呂で〇〇して遊ぼうか」など、遊びから次のことへ気持ちが動くよう声をかけるのも有効です。

それでも切り替えが難しい場合は、遊び始める前にタイマー(小さくかわいいものがおすすめ)をセットし、「鳴ったら終わり」の習慣をつけるなどの工夫をしてみるのもおすすめです。

学童でも「何時になったら片づけ始めるよ」と確認をしてから遊び始めます。

10分前、5分前に声かけをして、徐々に気持ちの切り替えができるよう支援していますよ。

同様に、「先に前置きをしておく」のも大切です。

帰宅後に「次はなにして、今度はなにして」と指示をするのではなく、帰宅する前、たとえば帰り道のおしゃべりでも構わないので話をしておきましょう。

「おうちに帰ったら、ごはんを食べて、お風呂に入って、歯磨きをしたら、今日はお布団で○○のご本を読もうか」と、寝るまでの行動に見通しを持たせてあげると、こどものなかでイメージがつき、スムーズに行動するための後押しになりますよ。

 

 

◆小さな失敗や間違いは気にせず、おおらかに構えて

初めての小学校入学には、こどもも親も不安が強くなりがちです。

小さな失敗や間違いは気にしすぎず、おおらかに構えておきましょう。

環境が変わるストレスにより、身支度や生活習慣など、これまでできていたことができなくなることもあるので、こどもの状態に合わせて関わっていくことも大切です。

また、小学校からは不登校の問題も出てきます。

行き渋りの行動が見られたら、担任の先生や関係機関に早めに相談してみましょう。

また、学校に行きたくないと言い出す前には、「夜寝られない」「食欲不振」「体調不良」「普段と違う行動」などの兆候が見られることもあるため、「なんだかおかしいな」と思ったら注意して子どもの言動を観察する必要があります。

 

基本的には、こども本人の意思を尊重し、無理をさせないようにしてあげてくださいね。

【記事の監修】

株式会社日本保育サービス 東京ブロック ブロック長補佐

小原 夕子(おばら ゆうこ)さん

 

祖母がボランティアで保育園に入れなかった近隣のこどもたちを預かっており、物心ついた頃から小さい子のお世話などの手伝いをして育つ。4施設の学童施設長を8年間勤め、アスク池袋保育園、アスク田無南町保育園で保育園補助をしながら保育士資格を取得。現在は本部ブロック長補佐として、日々の業務にあたっている。