小学校入学に向けての準備、「いつ」「何を」「どうすれば」いい?親とこどもの心構えも

 

小学校への入学は、親子ともに大きなライフイベントのひとつ。これまでとは違う新しい環境に飛び込むこどもには、期待と不安が入り混じっているでしょう。

就学前には、持ち物はもちろんのこと、心の準備もサポートしてあげる必要があります。

そこで今回は、保育士資格を保有し学童支援員や学童施設長などの役職で、これまで多くのこどもに携わってきた経験をもつ小原夕子さんに、就学に向けてしておきたい準備について教えてもらいました。

 

この記事のPOINT

・こどもが小学生になるまでの、ものの準備と心の準備それぞれのタイミングが理解できる

・こどもが小学生になるにあたり、用意すべきものをチェックすることができる

・入学するまでに身につけておくべき習慣やこどもの心の準備、親の心構えがわかる

 

 

◆小学校準備はいつから始めるもの?

年長に進級すると、早くも小学校準備が気になり始めますよね。

どのタイミングで準備し始めるのがいいのでしょうか。

 

◎Q:ランドセルや学用品などの、ものの準備はいつから始める?

●A:学校説明会のあと!

ランドセルの購入は早くてもいいですが、学用品は就学時健診が終わり、学校説明会で準備物が指定されたあとに用意しましょう。

学校説明会が開催されるのは、住む地域にもよっても異なりますが、大体小学校入学の数ヶ月前となる1月~2月頃に行われることが多いようです。

説明会よりも前に買ってしまうと、学校により必要なものが違ったり、キャラクターNGだったりということもあるため、事前に買ったものが使えないこともあるかもしれません。

 

◎Q:こどもに向けた心の準備はいつから始める?

●A:お昼寝がなくなる秋くらいから

心の準備はギリギリすぎるのもダメですが、先に情報を多く与えてしまうと、不安が強くなってしまうこともあるため、焦って早くしすぎるものよくないです。

お昼寝タイムがなくなった秋くらいを目安にして、少しずつ心の準備を始めてあげるといいでしょう。

 

◆小学校入学までに何を用意したらいい?

小学校になるとたくさんの学用品が必要になります。

小学校入学までに、具体的に何を用意すればいいのでしょうか。

 

◎Q:小学校入学に向けて用意するものは?

●A:学校や学童に指定されたものだけでOK!

つい「あれもこれも」と用意したくなってしまうかもしれませんが、基本的には、学校や学童に指示されたものだけ確実に用意すればOKです。

防犯ブザーや反射板のキーホルダーは、学校で配られることもあるため、購入するのは入学後でもいいかもしれません。

入学前の春休みから学童保育に通うことが決まっている場合は、学習タイムや本読みタイムがあります。

就学前でまだ文字を習う前ですので、(文字が書けるお子さんは学習ドリルも可)塗り絵や線引きドリルのように机に向かって取り組む道具が必要です。

 

◎Q:持ち物で注意しておくべきことはある?

●A:ものをなくしがちなこどもにあれこれ持たせるのはNG!

こどもにもそれぞれタイプがありますが、ものの管理が苦手なこどもに持たせるのは、必要最低限のものだけにするのがおすすめです。

なくす度に怒られると親子ともに嫌な気持ちになり、お互いに悪い循環が生まれてしまいます。自己肯定感を下げるだけです。

高価なものは避けておくと、なくしたり壊したりしたときのダメージが少なくなるかもしれません。

 

 

◆入学までに身につけたい習慣や心構えとは?

小学校に入るまでに身につけておくべきこと、気になるパパママも多いですよね。

小学校入学までに、どんな習慣や心構えを身につけておけばいいのか、確認しておきましょう。

 

◎Q:入学までに身につけたい習慣は?

●A:基本的な生活習慣と登下校のルート確認はしておこう

 

「あいさつをする」「自分の名前が言える」「返事できる」「着替えやトイレなどが一人でできる」「翌日の準備をする」など、保育園でもやっている基本的な生活習慣は、しっかり押さえておきたいですね。意外なところで、「立ったまま靴を履く練習」もしておくといいですよ。

保育園や幼稚園は親が送迎するのが基本ですが、小学校になるとこどもだけで歩いて登下校することも多いはず。

学校から家までの道を一緒に歩いてみて、登下校のルート確認をしておくのがおすすめです。

こどもは景色が変わると道がわからなくなってしまうため、行き、もしくは帰りどちらかだけの確認では不十分。

「行けるけど帰りは道がわからない!」ということにもなりかねません。必ず行きと帰りの両方とも歩いておきましょう。

鉛筆を使う練習も、勉強に慣れるための準備になります。字を書く練習でなくても、鉛筆を使うことが大切です。

また、園児には年間を通して水分補給するよう指導がありますが、小学校では飲むタイミングを自主性に任せることが多いようです。

水分補給を自主的にできるようになっておくと安心です。

コロナ禍の今はマスク必須となりますが、マスクに慣れずなめたり噛んだりしてしまう子もいます。マスクを鼻までつける練習もしておくといいでしょう。

 

◎Q:心の準備はどんなことをすればいい?

●A:小学生に向けての前向きな情報を与えよう

学校はどんなところなのか、どんなことをするのかを、絵本や会話などを通して教えていきます。

意識しておきたいのは、不安を与えるのではなく、ワクワクドキドキできるよう、小学校に対して前向きな情報を与えること。

親の心配は思っている以上にこどもに伝わるため、親が不安だと一緒の気持ちになってしまうことも。まずは、親が落ち着いて心配しすぎないことも大切です。

 

◎Q:こどもが小学生になるにあたり、親が意識しておきたいことは?

●A:新生活はこどもにとって大きなストレスになることもある

パパママの心構えにはなりますが、知っておいてほしいのは、小学生になる前・なった後に、ストレスや不安による変化が見られる可能性もあること。

物を投げる、これまでできていたことができなくなるなど、なかには我が子の豹変ぶりに驚くこともあるかもしれません。

もちろん小学校になってすぐに馴染めるこどももいるので、個人差はありますが、環境の変化が大きなストレスになり得ると理解しておきましょう。

 

入学準備の一環として習い事を増やすのは、おすすめしません。

「習い事が増える=関わる人やものが増える」ということ。

 

同じ幼稚園や保育園のこどもが多いなど、そう負担にならない環境であればいいかもしれませんが、新しい環境が増えると、大人の想像以上疲れてしまいます。

小学校に慣れた夏以降、本人の意思を尊重しながら新しい習い事を検討してみてはいかがでしょうか。

また、保育園と小学校では先生との距離感が変わることも理解しておきましょう。

 

保育園は子育てを支援する場所なので、親とこどもの両方をサポートしてくれます。

それに対して、小学校は教育する場所になり、先生が支援する対象はこどもになります。

小学生になると、これまではすぐ近くでサポートしてくれる立場だった先生との距離が少し離れることも、理解しておくといいかもしれません。

 

 

◆こどもの気持ちに寄り添いながら前向きになれる声がけを

保育園から次のステップとなる小学生は、こどもの自立の第一歩。

初めての小学校入学には、親もこどもも不安がたくさんあるでしょう。

しかし、親が不安な気持ちでいると、伝染してこどもの不安も強くなってしまいます。

保育園でも小学生になる心の準備をしてくれているはずなので、あまり焦らず構えず、できることから少しずつ準備を進めていきましょう。

 

また、新生活は大人が思う以上にこどもにストレスになることを理解することも大切です。

こどもの気持ちに寄り添いながら、小学校での生活に前向きになれるようポジティブな言葉がけをしてあげるといいでしょう。

【記事の監修】

株式会社日本保育サービス 東京ブロック ブロック長補佐

小原 夕子(おばら ゆうこ)さん

 

祖母がボランティアで保育園に入れなかった近隣のこどもたちを預かっており、物心ついた頃から小さい子のお世話などの手伝いをして育つ。4施設の学童施設長を8年間勤め、アスク池袋保育園、アスク田無南町保育園で保育園補助をしながら保育士資格を取得。現在は本部ブロック長補佐として、日々の業務にあたっている。